2017年 大阪大学の近況報告

大阪大学の近況報告
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鬼澤理事(千石会顧問)から、前回の総会から1年間が経ち、その間の大阪大学の取組や、学生たちの活躍の様子などの報告がありました。

 

執行部

 
現在、西尾総長をはじめ、ご覧のメンバーと共に、執行部として大学運営に取り組んでいます。

 特に、主プロボストである大学経営総括理事と副プロボストである教育研究総括理事を設置し、ガバナンスの強化を図ったところであります。

大阪大学は、創立100周年にあたる2031年に、「社会課題の解決」、「学問の深化」、「優秀な人材の輩出」を目標として、「社会変革に貢献する世界屈指のイノベーティブな大学」になることを目指しています。 

ビジョン2そのOUビジョン2021は、イノベーションを阻害する学内外の様々な「壁」を取り払い、大学の知を広く世のため、人類社会の幸福のために開放すること、つまり「オープン」を基軸とします。具体的には、エデュケーション、リサーチ、イノベーション、コミユニティ、ガバナンスに関する5つの「オープン」の柱で構成しました。

 これら5つの柱に基づき、自ら誇りとする卓越した知の探求を基盤としながら、利害や立場を超えたあらゆる可能性を探求して行きます。それに先立ち、創立90周年にあたる2021年を見据えた第3期中期目標期間の6年間を「進化の期」と位置づけ、たゆまぬ自己変革の指針を「OU(Osaka University)ビジョン2021」として策定しました。

今次に、大阪大学の今(現状)についてですが、大阪大学が、日本屈指の研究型総合大学でありますことは、皆さまご承知のことと存じますので、特に、国内外で高く評価されたトピックをご紹介いたします。米国のロイター社が、特許の出願件数や論文の引用回数などから選出した国際ランキング「最も革新的な大学ランキング」を初めて公表した2015年版では、世界18位、国内1位でした。また、研究面においても、世界中で引用された回数の多い論文の著者を21の研究分野ごとに選出した「Highly Cited Researchers 2016」では、国内の大学で最も多い4分野8件の研究者が選出されました。

ランキングまた、今年8月に発表された「研究の質とイノベーションへの広い意味での影響度」に基づくランキング、「Nature Index Innovation」においても、国内トップにランキングされました。世界全体の順位でも31位で、あのハーバード大学よりも上位にランキングされています。これらは、大阪大学において、世界をリードする研究が行われている証の一つであると考えています。

ランキング2さらに、地域貢献活動においても、日経グローカル「大学の地域貢献度」調査で、全国748の国公私立大学中、総合ランキングで第1位にランキングされました。

 

 

キングファイサル岸本忠三(きしもと・ただみつ)元総長(免疫学フロンティア研究センター特任教授)が、サウジアラビアの「キング・ファイサル国際賞」の受賞者に選ばれ、4月4日、サウジアラビアのリヤドにて授賞式が行われました。「アラブのノーベル賞」とも呼ばれるこの賞は、日本人では過去にノーベル賞受賞者の山中伸弥(やまなか・しんや)・京都大学教授や、野依良治(のより・りょうじ)・名古屋大学特別教授などにも授与されています。

クラフォード免疫学フロンティア研究センターの坂口志文(さかぐち・しもん)特別教授が、クラフォード賞の受賞者に選ばれ、5月18日、ストックホルムで授賞式が行われました。クラフォード賞は、ノーベル賞の選考機関として知られるスウェーデン王立科学アカデミーが授与するものです。今回の受賞は日本人として4人目、本学では岸本元総長と平野俊夫(ひらの・としお)前総長に続き3人目となります。これらの素晴らしいニュースを、本学の研究の更なる活性化に向けての弾(はず)みにしたいと思います。

産学共創大阪大学は、「共創」活動により、産業界と大学の間に「知」と「人材」と「資金」の好循環を実現するアプローチを行っておりますが、その一つが、「組織」対「組織」による基礎研究段階からの産学共創です。すでに実例として、創薬分野では、中外製薬株式会社、大塚製薬株式会社と、情報分野では、ダイキン工業株式会社と包括連携を締結するなど、着々と取組みを進めています。このような「組織」対「組織」の産学共創により、基礎研究力のさらなる強化とイノベーション創出への迅速な貢献が可能になります。

人材育成2つめは「イノベーション人材育成」へのアプローチです。その具体例として、大阪大学とパナソニックとの「人工知能共同講座」を紹介します。近年、IoTや人工知能など情報技術の革新が進む中、それらの知識や技術を持つ人材育成は重要ですが、企業の研究開発者でも専門的に学んできた人は多くはありません。そこで、パナソニックのビジネスで培った実績と、本学が有する情報技術に関する深い知見を掛け合わせた実学プログラムを開始しました。いずれは、こうした講座をさらに発展させ、他企業や他大学の大学生にオープンにすることで、社会全体の発展に貢献していきたいと考えています。

雇用育成3つめは「若手研究者育成」へのアプローチです。運営費交付金の減少による研究環境の悪化、研究力低下を打開するために、外部機関からの共創関係による資金援助のもと、卓越した若手研究者を長期雇用し、育成するための「高等共創研究院」を昨年設置しました。企業、財団からのご支援により、まずは20名規模の雇用計画からスタートしています。

男女恊働4つめは「男女協働推進」へのアプローチです。本学では、魅力あるダイバーシティ環境の実現を産官学共創事業の一環として強力に進めております。この事業は、多様な人材、特に女性研究者の積極的な採用および上位職の登用に関する取組を支援するものです。現在、多くの企業の参画を得て、クロスアポイントメント制度等を活用した女性研究者循環型育成クラスターの形成と拡充を目指しています。これらの取り組みもあり、本学は昨年5月から今年5月の間に女性教員が32名増加しており、国立大学協会が実施した調査結果によると、この数は国立大学で最も多い増加数でした。これからも、女性研究者の活躍促進を強力に牽引していきます。

国際恊働大阪大学は、アジアの14言語の専攻を有する強みを活かし、アジア諸国とのネットワーク強化も重視しています。ASEAN各国とは地域のニーズに応じた感染症研究などの分野で30年以上にわたる長年の共同研究等の実績があり、現地にオフィスやラボを設置し、双方向に研究者や学生の交流を行ってきました。これらの実績を基に、タイ、ベトナム、インドネシア、ブルネイの4か国にある大学や政府系機関の研究所内に「ASEANキャンパス」を設ける準備を進めています。

グローバルキャンパス国内における取組としては、約70カ国の学生が集う「OUグローバルキャンパス」を2021年に箕面市に開学します。ここには、25言語の専攻からなる外国語学部や日本語・日本文化教育研究拠点を移転し、日本と世界をつなぐ架け橋となる「Japanese Studies」のネットワーク拠点を形成します。また、箕面市と施設の相互利用や共用化を行い、地域との共創活動の拠点となります。優秀な外国人研究者や留学生の獲得・育成を強化するため、吹田市にグローバルビレッジを建設します。

文化勲章このたび、文化勲章・文化功労者・紫綬褒章に、ご覧の5名の名誉教授が受章されました。

このたびのご受章、誠におめでとうございます。 

 

政策提言ここからは、学生の活躍についてご紹介したいと思います。昨年12月に、全国125チームが挑んだ日本最大の学生政策提案イベント「ISFJ日本政策学生会議」が開催され、この大会で、法学部国際公共政策学科の赤井伸郎(あかい・のぶお)ゼミの学生が、最も説得力のある政策提言論文に与えられる最優秀賞を受賞し、前年に続き連覇を達成しました。

インドネシア7月に開催された「第11回インドネシア語スピーチコンテスト」で、外国語学部の学生3名が最優秀賞などを受賞しました。

本学学生が2つのカテゴリーで最優秀賞、さらに在日インドネシア共和国大使館からの特別総合最優秀賞を受賞する快挙となりました。

漕艇部大阪大学漕艇(そうてい)部が、7月に開催された「関西選手権競漕大会」において、一般男子エイトの部で優勝いたしました。この大会は、関西の大学はもちろん、東海・北陸地方や西日本にある大学、企業、ローイングチームなどが集まる大会で、大学・社会人の数々の強豪を倒しての優勝は、まさに快挙です。

準硬式野球部大阪大学準硬式野球部が、5月、「関西地区大学準硬式野球トーナメント大会」で勝ち進み、約半世紀ぶりの全国大会出場の切符を手に入れました。全国大会では、1回戦でこの全国大会で準優勝した強豪福岡大学に惜しくも敗れましたが、素晴らしい健闘ぶりに心から拍手を送りたいと思います。

七大戦今年の全国七大学総合体育大会(七大戦)は名古屋大学の主管で開催されました。

 最終順位は3位でしたが、大阪大学は一時期首位に立つなど、大健闘いたしました。

 

ダンスサークルお祭りダンスサークル祭楽人(まだに)が、8月に名古屋で開催された「第19回にっぽんど真ん中祭り」において、学生チーム対象のキャンパスバトルで3年連続の優勝を果たしました。

 

ヨット部9月に開催された「第26回全日本学生女子ヨット選手権」において最優秀選手賞を受賞し、総合成績でも大阪大学が6位に入賞する大躍進を果たしました。

ご紹介しましたように、学生達は、さまざまな分野で溌剌と頑張ってくれており、私たちにとっても大いに励みになっています。

未来基金一方で、国立大学を取り巻く環境、とりわけ財政の状況は、年々厳しさを増しております。本日お越しの皆さま方には、引き続き、本学学生等の輝く未来のためにも、「大阪大学未来基金」への温かいご支援とご協力を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

 

阪大ファミリー最後に、「大阪大学ファミリー」のネットワーク拡大に向けた取組みなどをご紹介します。昨年12月3日に開催した東京での「第8回大阪大学の集い」では、過去最多となる約560名が参加され、大変な盛会となりました。

また、今年9月23日に名古屋で開催した「大阪大学の集い in 名古屋」には、東海・中部地域等の大阪大学・大阪外国語大学の卒業生などに約300名お集まりいただきました。来年は福井での開催を予定しており、これからも学部や世代を超えた「大阪大学ファミリー」の輪を広げていきたいと思います。

阪大ファミリー22月14日には「大阪大学リーダーズフォーラム」を、第5回目にして、初めて東京で開催しました。東京でご活躍のリーダーの方々から貴重なご意見をたくさん頂くことができ、参加者の方々からも大変好評でした。また、海外でも、同窓会など様々な集いの場があり、その活動はますます活性化しております。2月18日には、大阪大学ASEANセンター開所10周年記念の会、タイ同窓会を開催しました。

阪大ファミリー3こちらは、恒例の「大阪大学ファミリー」のためのビッグイベント、ホームカミングデイの様子です。今年は、4月30日に開催し、過去最多となる約520名の参加がありました。今回は、さまざまな分野でがんばる阪大現役生、そして、本学卒業生で、プロで活躍するアカペラグループ「INSPi」(インスピ)が登壇するなど、エネルギッシュな催しとなり、大きな賑わいとなりました。

課外活動課外活動への支援として、未来基金へのご寄附により本年3月豊中キャンパスに土俵が完成しました。その効果もあってか、5月に開催された「第35回全国国公立大学相撲大会」では、大阪大学が団体3位に入賞するなどの活躍しております。

 

ダイハツ9月にダイハツ工業株式会社様から、本学の公用車としてダイハツトールを寄贈いただきました。

写真は、ダイハツ工業株式会社代表取締役会長 三井 正則(みつい まさのり)様にご臨席いただいた寄贈式の様子になります。

共創イノベーション最後に、最新トピックとしまして、ご紹介しますと、本部棟の隣に共創イノベーション棟が竣工しまして、その披露式典・祝賀会が昨日行われました。この棟は、イノベーション創出のため、部局横断的に集結した最先端の卓越研究者や、世界各国から招聘した外国人研究者が集う研究活動の基盤となるスペースとして整備されたものです。

この棟の1階には、パブリック交流スペースとして、本学の精神的源流である「懐徳堂」、「適塾」の紹介をはじめ、本学理学部に在籍された湯川秀樹博士が1949年にノーベル賞の受賞業績の対象となった中間子論をまとめた学位論文(レプリカ)、本学生命科学図書館に現存するキュリー夫人の実験日誌(レプリカ)を展示しておりますので、ぜひ機会がありましたら、お立ち寄り願います。

創立90周年以上、大阪大学の近況をご報告いたしました。冒頭にも申しましたとおり、大阪大学は2021年に創立90周年、統合した大阪外国語大学の創立100周年を迎えます。記念すべき2021年に向け、皆様には、今後もぜひ大阪大学に関心をお寄せいただき、温かいご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。大阪大学一同、皆様方のご期待にそえるよう、日々邁進してまいります。本日は本当にありがとうございました。

 

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