2014年 大阪大学の近況報告

大阪大学の近況報告 
大木理事(副学長)から、昨年の総会以降の大阪大学の近況等について報告がありました。
大阪大学の集い関東方面に在住・勤務される本学関係者が一堂に会する「大阪大学の集い」を、昨年12月5日に学士会館において開催し、卒業生や教職員OB、現役の教職員・学生など約240名の方にご参加いただきました。
当日は、1987年文学部ご卒業で、 NHK World News部副部長の
榎原美樹(えばらみき)さんから、「グローバル化の波と日本、OSAKAの進む道考察」と題したご講演をいただきました。
講演では、地下鉄サリン事件の取材や海外での駐在経験をもとに、大阪人のコミュニケーション能力を例に、グローバル化へ進む日本において大阪や母校に期待する思いなどをお話しいただきました。

卒業式平成25年度卒業式・大学院学位記授与式を3月25日に挙行し、学部生、大学院生合わせて約6000名が本学から旅立ちました。
式典では、平野総長から、「江戸末期、適塾で学んだ先輩方が我が国に新たな時代の風を吹き込んだように、皆さんにも、大きな「志」と「夢」を持って、21世紀を切り拓いていただきたい。」とメッセージが送られました。
4月2日には、平成26年度入学式を挙行し、学部生3514名、大学院生2894名が入学しました。
入学式では、「大阪大学が創立100周年を迎える時の主役は皆さんです。『世界適塾』として世界でトップ10に入るという大阪大学の大きな夢を皆さんの力で是非とも実現してください。」と、新入生への期待が述べられました。

東京オフィス創立100周年を迎える2031年に「世界トップ10の大学になる」という夢の実現に向け、首都圏における本学の活動拠点として「大阪大学東京オフィス」を開設しました。
東京オフィスは、文部科学省や各省庁、企業の本社等が立ち並ぶ東京霞が関に所在しており、情報の収集及び活動拠点として、また、企業等との連携や同窓生との交流等の拠点として、開設以来、多くの教職員、学生やOBにご利用いただいております。
東京オフィスは、本学を退職された皆様方におかれましてもご利用可能ですので、東京にお出での際は、ぜひお立ち寄りください。

ホームカミングディ5月3日、いちょう祭の開催に合わせ、第9回目となるホームカミングデイを豊中キャンパスにおいて開催し、卒業生とそのご家族や現旧教職員など300 名を超える方々に参加いただきました。
セレモニーは、人間科学部卒業生の関純子(せきじゅんこ)関西テレビアナウンサーの司会で行われ、元総長の熊谷信昭(くまがいのぶあき)同窓会連合会会長の挨拶に続き、今年は、文学部ご出身で、公認会計士・税理士として様々なメディアでもご活躍の山田真哉(やまだしんや)さんから、「大阪大学とさおだけ屋と私」と題した講演が行われました。

湯川黒板日本人で初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹(ゆかわひでき)先生が米国コロンビア大学で愛用していた黒板を、本学理学研究科が譲り受け、その披露式典を5月13日に行いました。
湯川先生のご長男である湯川春洋(はるみ)様ご夫妻や、ノーベル物理学賞受賞者の南部陽一郎(なんぶよういちろう)大阪大学特別栄誉教授にもご参加いただきました。
湯川先生は大阪帝国大学理学部で、講師、助教授として6年間研究生活を送り、講師時代に未知の粒子(中間子)の存在を予測する「湯川の中間子論」を発表しました。数年後中間子が発見され、湯川先生の研究はゆるぎないものとなり、そして、この業績に対して1949年に物理学賞が授与されたことはご承知のとおりです。
黒板は湯川先生がコロンビア大学客員教授時代に居室で使用していたもので、物理学者にとって黒板は研究者同士の議論に不可欠な存在です。
黒板と言っても石版で出来ていて書くとカチカチと鳴るとても重厚なものです。
理学研究科の学生たちがこの黒板を使って議論を深め、阪大から新しい物理学の未来を築いてほしいとの思いが込められています。

適塾耐震5月14日、本学が保存管理する適塾(史跡・重要文化財)の耐震改修工事が終わり、関係者への内覧会を行いました。
適塾は推定200年以上前の建築物であり、重要文化財の同工事では、全国で初めて複合鋼板耐震壁を採用するなど、文化財に影響が出ない工法での耐震補強を施しました。見た目は全く従来と変わりません。また、本学の源流である適塾が開かれてから今年で176年になり、
本学との関わりを記した木製看板も新しく取り換えました。この機会に本学の源流と位置づけられる適塾へぜひおこしください。

APRU6月24日、25日に本学が加盟し、理事校に就任している環太平洋大学協会(APRU)の第18回年次学長会議がオーストラリア国立大学主催で開催されました。
APRUは、環太平洋圏の主要大学間の相互交流を深めることにより、重要な諸問題に対し、教育・研究の分野から協力・貢献することを目的として1997年に設立されたもので、本学は同年に加盟し、2013年7月からは平野総長が日本代表理事に就任しています。
来年のこの会議は本学がホスト校となり、6月28日~30日の日程で大阪で開催することを予定しています。この機会に、大阪大学の研究力、教育力をアピールし、本学のプレゼンスを高めていきたいと考えています。

秋季入学式9月25日に、秋季卒業式・大学院学位記授与式を、10月1日に秋季入学式を、コンベンションセンターで執り行いました。
学位記授与式は、学部英語コースの卒業生を初めて輩出する今年から、「卒業式・大学院学位記授与式」に改め、また、入学式については、これまでは学部ごとに実施されておりましたが、阪大生としての一体感、帰属意識を高めるため、今年から大学全体で「秋季入学式」として挙行することといたしました。なお、秋入学、秋卒業は外国人留学生が多いことから、国際化に対応するため、卒業式では式辞を英語で、入学式では式進行全てを英語で行いました。

キャンパス大阪大学のキャンパスの整備について説明します。
吹田キャンパスでは、2月に産学連携の新拠点として「最先端医療イノベーションセンター棟」を、豊中キャンパスでは、3月に文理融合教育研究の中核拠点として「文理融合型研究棟」を竣工しました。
また、直近では、サイバーメディアセンターITコア棟、生命システム棟等の整備を行いました。

主な受賞次に、大学の最近の主な受賞等について、紹介いたします。
先ほど、秋の叙勲で木村 宏(きむら ひろし)さんのご紹介がありました。おめでとうございます。
本年では春と秋の褒章・叙勲では、ご覧のとおり16名の方が受章されました。
誠におめでとうございます。

ドーナッツさて、ここで本学学生の活躍ぶりを3点ご紹介したいと思います。
本学学生が、企画から編集、広報、販売までを手がけた書籍、「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」が話題になっています。
経済学、哲学、数学、美学など多彩な分野の教員らが一見矛盾した論題に挑んだ一冊です。
この本は、「大阪大学ショセキカプロジェクト」の成果として、出版されたものです。大阪大学の「知の資産」を学生自らが「本」というメディアを通して伝える「ショセキカプロジェクト」に、どうぞご注目ください。

阪大なでしこ文部科学省による日本人学生の海外留学促進のための官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」が今年からスタートし、その1期生に本学の女子学生7人が選抜されました。
第1期生の募集には、221校1700人が応募し、全国で計323人が選抜されました。
大阪大学は女子大学であったのかとの声も聞きますが、残念ながら男子学生は選抜されませんでした。本学の代表、日本の代表として世界にチャレンジし、さらなる成長を遂げてくれることを期待しています。

竜王に挑戦本学文学研究科修士2年の糸谷(いとだに)7段が将棋の最高峰
タイトル「竜王」に挑戦中です。
現在2勝1敗で優位に立ちながらも、竜王獲得へ向けて熱戦を演
じています。

私も糸谷7段を応援します。

世界適塾さて、ここから文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援事業に採択された「 GLOBAL UNIVERSITY」「世界適塾」構想についてご紹介いたします。
本学が目指す「世界適塾」とは、本学の原点である「適塾」の精神を受け継ぎ、21世紀において地球規模の課題解決に意欲ある学生や研究者が世界から集い学ぶ場=プラットフォームを構想するものです。
この「世界適塾」構想の下で、本学が国際競争力を備えた研究世界適塾2型総合大学として更に飛躍するために必要なグローバル化、教育改革、マネジメント強化等に係る様々な取組みを進めてまいります。
取組みの一例を紹介します。
「留学生受入れ・海外派遣の増加」
留学生の受入れ、海外派遣を平成32年までに倍増させます。
「学事歴の改革」
学事歴を見直し、全国でも珍しいクォーター制(3学期制)を導入世界適塾3します。6月下旬~8月の夏休み期間を、学生が海外のサマースクールへ行き研鑽を積むなど主体的な学習時間の確保や、短期留学生向けの阪大サマースクールを開催し、相互交流の一層の強化を図ることなどが可能になります。
「国際通用性のある講義の充実」
edXが提供する MOOCを介した国際水準の講義を導入するなど、国際通用性のある教育の質保証を実現します。
「国際標準の教学マネジメントの導入」
学位プログラムの体系化と並行して、ナンバリングの全学導入を実施します。
「教員の多様化」
特別教授制度、クロス・アポイントメント制度、年俸制の対象拡大等により、教員の採用についての自由度を拡げ、教員組織の充実、優れた人材の確保、教育研究活動の活性化を図ります。
「学生の多様化」
日本語能力の獲得と併せた留学生入試制度を新しく導入し、留学生獲得戦略の幅を広げるとともに、新たなAO入試の全学的実施に向け、学内準備を早急に進めます。
「世界適塾ビレッジの形成」
混住を前提とし、教職員分と合わせて2600戸規模となる世界適塾ビレッジ計画を進めていきます。
「海外4拠点の機能強化」
北米、欧州、ASEAN、東アジアの4つの海外拠点が、様々な活動の中心となるハブ機能を果たすことにより、「点から面へ」「都市から地域へ」の活動をより一層推進していきます。
「カリフォルニア大学のオフィスの誘致」
カリフォルニア大学のオフィスを本学に誘致し、教員の招へい活動やサマープログラムの計画を進めます。
「国際ジョイントラボの大幅増加」
海外の教授クラスの研究者が本学で活動する「国際ジョイントラボ」について、現行22のラボを平成35年度までに100に増やします。
「世界適塾大学院」
未来戦略機構を介し形成された新しい異分野統合・新学術領域を基盤とした、次世代グローバル大学院である「世界適塾大学院」を平成29年までに設置し、本学の分野横断的な教育研究の強みと、柔軟な人事制度等のマネジメントの特色を最大限発揮させた組織として、今後の全学的な大学院システム改革を牽引します。
今、ご紹介した取組は一例であり、今後、これら先進的な取組を精力的に進めていきます。

未来トーク最後に、「大阪大学未来トーク」のご紹介です。
様々な分野で活躍中の著名な方に、各界の最先端の情勢を講演していただく「大阪大学未来トーク」を今年も実施しています。
12月には明石康(あかしやすし)元国際連合事務次長にご講演いただく予定としており、1月以降はご覧のとおりです。
各キャンパスでご覧いただけますので、この機会にまたキャンパスに足を運んでいただければと思います。